ダウンドッグは、ヨガの代表的なポーズの一つです。「下向きの犬のポーズ」とも呼ばれます。その名のとおり、犬が前足を踏ん張って、頭を地面につけるように伸びをする様子に似ています。 パワーヨガでおなじみの「太陽礼拝」の流れの中にも組み入られています。

ダウンドッグとは

ダウンドッグは、ヨガインストラクターの大半がレッスンで採用しているポーズです。 古代サンスクリット語では「アド・ムカ・シュヴァナーサナ」(アドームカシュヴァーナーサナ)と呼ばれ、インドでも伝統的なアーサナ(ポーズ)の一つとして重視されてきました。 20世紀に出版され世界的ベストセラーとなったヨガポーズ集『ハタヨガの真髄』(B・K・S・アイアンガー)でも、「心身に生気が蘇るアーサナ」として紹介されています。

ダウンドッグでは、前屈をしながら手と足で全身を支えます。腕や手が強くなり、骨盤、腰、肩などのバランスが回復。全身の安定がもたらされると言われています。

効果

全身のストレッチ

ダウンドッグは、体の背面を全体的に伸ばすことができます。

とくにストレッチされるのが、脚の太ももの裏(ハムストリング)とふくらはぎの部分です。現代人が硬くなりやすい部位とされ、腰痛や骨盤の歪みとも関係しています。

このほか、ダウンドッグをすると肩甲骨や背中、お尻をストレッチすることができます。腰痛や肩こりの改善・予防の効果が期待できます。

筋肉を鍛える

前鋸筋(ぜんきょきん)

ダウンドッグをすると、腕や手の力を鍛えることができます。とりわけ床を押す力によって「前鋸筋」(ぜんきょきん)が強化されます。前鋸筋は、肋骨と肩甲骨の前面を結ぶインナーマッスルです。「ボクサー筋」とも呼ばれ、パンチをするときに使われます。前鋸筋を鍛えると、バストの位置をキープする効果があるとも言われています。

腸腰筋(ちょうようきん)

また、ダウンドッグでは腸腰筋(ちょうようきん)も鍛えられます。 腸腰筋は、背骨と腰、太ももの骨をつないでいます。脚を根元から動かすうえで大切な役割を果たしており、腸腰筋が発達すると、歩き方がキレイになります。また、脚をアクティブに使えるようになり、美脚や代謝アップの効果も期待できます。

姿勢改善

腸腰筋には、骨盤を支えるという役割があります。ダウンドッグを繰り返し行うことで、腸腰筋がほぐれ、骨盤の歪みが解消されやすくなります。姿勢改善にもつながると言われています。

血流

ダウンドッグでは頭が心臓より低い位置になります。逆立ちと同じような状態です。これによって血液の循環が良くなります。また、内臓が重力から解放されることで、内臓のうっ血の改善効果が期待できます。

やり方

動画

手順

(1)4つんばいになる。足の幅は骨盤くらいに。

(2)両手を大きく開く。 基本は人差し指が真ん中になって正面を向く。 脇を閉める。

(3)手で床を押しながら、天井に向かってお尻を引き上げていく。

(4)手の平の全面をしっかりとマットにつけぐっと押す。とくに親指と人差し指がマットから浮かないようにする。

(5)足を伸ばし、かかとをマットに近づける。
※姿勢を崩してまで無理にかかとを床につけようとしない。

(6)お尻を後ろに突き出して、腰にナチュラルなカーブをつくる。
※骨盤が後傾して腰が丸くなってしまうときは、ひざを曲げて腰をまっすぐにする。

(7)へそをお腹のほうにへこませる

(8)上半身は肋骨と骨盤をひき離すようにする。それによって体が伸びていく。

(9)ポーズができあがったら、頭だけリラックスしてヘッドダウン(首をだらんと楽にする)。ただし、肩甲骨の間が狭くならないようにする。左右の肩甲骨の間の距離はキープする。

(10)肩と耳の間のスペースをしっかりと確保する。

(11)この状態でしばらく静止する。

(12)ひざをついて、お尻を下げてチャイルドポーズ

参考文献

「ヨガのポーズの意味と理論がわかる本」

「YOGAポーズの教科書」